【書評】『お金の増やし方を教えてください!』

読書

【書評】『お金の増やし方を教えてください!』

表題は本のタイトルを一部省略させていただきましたが、山崎元氏の『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』を読了しましたので、読後レビューを共有させていただきます。

投資初心者の方は、まずは読みやすい投資の入門書を3冊ほど読むことにより投資の世界で常識とされている知識を効率良く習得することが可能です。本記事を読んでいただくことにより、1冊の入門書として『お金の増やし方を教えてください!』を読むキッカケとなれば幸いです。面白そうだなと感じていただいた方は是非一読されることをお勧めします。

投資初心者にお勧めの本

この本は非常に読みやすく、トータル時間も90分かからない位で読み終えることができました。本の構成としては、主に投資とリスクの話から始まり、持ち家か賃貸か、生命保険に入った方がいいかといった身近な話や、NISA、確定拠出年金といった投資初心者が投資を始める際に是非とも押さえておきたい話が広くカバーされている印象でした。

実際に、老後はいくらくらいお金が必要になるのか?といった現実的な話や、なぜインデックスファンドへの投資が良いのか、実際のインデックスファンドは何を買えば良いのかといった具体的な商品まで触れられているため、投資をしたいが何から始めたら良いのか分からないという方は目を通してみると様々な発見がありそうです。

果たして銀行預金は安全か?

書籍の中でもテーマとして触れられていましたが、銀行預金の安全性について疑問を投げかけているのは面白いですね。例えば100万円を銀行の普通預金に1年間預けた場合、金利0.01%であれば100円の利息がつきますがインフレが進み物価が上がった場合、相対的にみるとお金の価値は下がってしまうため、ざっくりですが預金金利よりも物価上昇率が高ければその分預金は目減りするのと等しい。しかし、日本は家計の貯蓄率が高く、安全資産として銀行預金が人気が根強い。

ここで信用面をを比較してみると、銀行より国の方が信用があり安全で、変動10年型の個人向け国債なら最低金利も0.05%で保証されており、途中解約の際も受け取った1年分の金利を返すだけとなります。つまり、この金融商品は実質元本保証で銀行預金よりも安全という理屈は腑に落ちました。預金が絶対的に安全と考えることに警笛を鳴らし、自分の頭で考えることを暗に促されます。

投資信託選びの基準について

本の中で、投資信託を選ぶポイントは5つ挙げられており、簡単に記載すると

  1. 信託報酬が安いこと
  2. 販売手数料が安いネット証券で購入すること
  3. 毎月分配型を選ばないこと
  4. ファンド自体の資産規模や流動性を確認すること
  5. 過去の成績はあくまでも参考に留めること

上記5点については、インデックスファンドへの投資をしている人たちにとっては常識となっている事ですが非常に重要なポイントだと思います。

毎月分配型を選ばないこと

1、2、4、5は当然として、3は特に注意が必要です。毎月分配型と聞くと不労所得が入ってくるので、一見良さそうに感じますが運用利益が出ていない場合はタコ足配当で元金部分も削って分配をしてしまいますし、運用利益が出ている場合は定期的に利益確定をすることになり、その都度およそ20%程の税金が課税され長期運用の目線で考えると投資効率は下がります。

ただ、毎月分配型は確かに難ありですが、本書では触れられていなかった高配当株投資については必ずしも悪いとは感じません。高配当株の場合は利益からの株主還元となるので投資元本を分配されることはありませんし、確かに定期的に利益確定して配当を出すため、課税される分投資効率は悪くなります。しかし、配当という形で定期的に自分の口座に入ってくるお金は、投資を続けるモチベーションになります。

長期投資を続けるにあたり、続けること自体が最も難しいと言われいます。その続けるモチベーションとなるのであれば、本人の考え方・好み次第で高配当株投資をやってみるというのも一案です。高配当株投資を続け、毎月毎月配当金が積み上がっていくのは希望が持てますよね。私自身も高配当株投資をメインにしていた時期がありましたので、配当金という目に見えるかたちで日々のキャッシュフローが良くなっていくのは快感でした。

しかし、私の場合は投資元本がそこまで大きくなかったため配当金額のインパクトに欠け、投資効率と再投資等の手間を掛けたくないという事の優先度が高かったため、現在は配当を出さない投資信託への投資がメインとなっています。

本書の中で示されている投資信託について

こちらの書籍の中では具体的な金融商品についても述べられています。10年型個人向け国債と投資信託・ETFが推奨されており、投資信託・ETFについてはTOPIXに連動するETFと、日本を除く先進国株式へ投資する投資信託が勧められています。2017年の本なので、具体的な金融商品は書籍の中で案内されているものよりも手数料が安いものも現在は存在しています。例としてあげられている上記の商品について、最新の類似した商品で代用するのがコスト面からもベストな選択肢となり得るでしょう。

書内では、まず運用ポートフォリオを作る際に投資資金を安全な運用部分とリスクを取りに行く部分に分け、安全部分は個人向け国債で運用し、リスクを取りに行く部分でTOPIXに連動する投資信託と先進国株式に投資する投資信託を一対一の割合で持つことが推奨されていました。私見では、今後投資期間を10年以上設定できるのであれば敢えて国債を組み込む必要性がそこまで感じられず、国債部分も先進国株式または米国株式に置き換えることで長期的なリターンを満足いく水準に上げられると考えました。このあたりは自身のリスク許容度を考えながらオリジナルのポートフォリオを構築すると良いでしょう。

あと一点、気になったのが投資資金を積立投資ではなく、滞留時間があると投資効率が悪いからとまとまった資金の一括投資を推奨していた点は私とは考えが全く逆でした。私自身は、一括投資をした後に暴落がくる可能性も考え、時間についても分散しドルコスト平均法を活かした積立投資をしていく方が好みです。

まとめ

全体的にとても読みやすく、短時間で要点を掴むことが可能ですので、投資初心者やこれから投資の第一歩を踏み出したい方にお勧めの本です。一方で、既にある程度の投資経験がある方には、特に大きな発見なく物足りない内容です。この書籍のターゲットがおそらく投資をこれから本格的に始めようとしている初心者の方であり、例として挙げられているポートフォリオについても、リスクを非常に抑えている印象があります。

投資において、リターンよりもリスクの低さを重視される方や、NISA、確定拠出年金についても知識を身に付けたい方にもお勧めです。Amazonプライム会員の方はKindleで読むことができますので、気になった方は是非一読してみて下さい!

投資の始め方についてはこちらに詳細を書かせていただきました。これから投資を始めることを検討されている方は是非一読いただければと思います。

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